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zoom RSS ラオワのツインフラッシュ KX800 を試す

<<   作成日時 : 2016/05/02 23:36   >>

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今回は熱帯魚の情報はありません。
小型の生き物の写真撮影に関する情報のみとなります。
昆虫が苦手な方はこの記事は見ない方が良いかもしれません。



先月より興味深いマクロ用ツインフラッシュが日本国内にて輸入販売されています。
ラオワ社の「マクロツインライト KX800」という機種です。

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輸入元の紹介文はこちら。下の方にストロボの紹介があります。l

左右のストロボは自由に動かせます。アームの根元からストロボ先端までの長さはおおむね45cm、ロックなどをかけずとも自然に空中で位置を固定できます。
真ん中で光っているのはピント合わせに使えるLEDの補助光です。
夜間に昆虫撮影などをしたことがある方はこれのありがたさが一目でわかるでしょう。

このストロボ、メーカーのスペックではGN58とありますが、入射光式露出計で測定したところ、ISO100でGN20くらいでした。ニコン以外のメーカーでは、GNを表記する際に、クリップオンストロボの照射角を望遠にした場合のGNを最大GNとして表記するようですが、このストロボには照射角の変更機能はありません。これはKX800のベースになった機種の最大GNをただ単に引っ張ってきているだけかと思います。
大光量を期待しているかたは注意です。が、マクロストロボであればGN20は通常なら充分であるはずです。

TTL調光などの自動露出機能はありません。マニュアル発光のみです。
カメラに取り付けさえできればとにかく設定された数値でポカンと光ります。
そんなわけで全自動で綺麗に写してくれる機能は全くありませんが、もともとこの手の機材の「オート」はあんまりあてにならなかったのが常でしたので、さして気にする必要はないと思います。
昔はマクロ領域のストロボ撮影はかなり難しい分野でした。撮影距離毎の適正絞り値をテストして把握をしておく必要がありましたが(詳細知りたい方は海野和男著「昆虫写真マニュアル」等参照)、今のデジタルカメラでは一回とりあえず撮影してみて、それから考えるのでも十分に良い結果が出せます。

使い方がわからない方は以下のようにしましょう。
1.カメラの露出モードをマニュアルにする
2.晴れならばシャッター速度を同調速度上限にする。同調速度上限がわからない場合は1/125にする
3.感度を晴れならばISO200に、絞りを11にする
4.ストロボの発光量を左右とも1/8にする
5.アームを適当に開いて被写体にストロボが当たるようにする
6.一枚撮影。光が強すぎる場合は「発光量を下げる」「絞りを絞る」「感度を下げる」のどれかを行って調整
  光が弱すぎたら「発光量を上げる」「絞りをあける」「感度を上げる」のどれかを行って調整
  背景が暗すぎる場合はシャッター速度を下げてもよい

曇っていたらISOを400にしてもよいかもしれません。

小難しく書いていますが、強く光が当たったら光を弱くするだけで誰にでも使えるはずです。
使い方がわからなければ、露出をマニュアルにして、シャッター速度を1/125 感度をISO200にして適当に光らせる、ということだけでも覚えておけば、数枚撮影するだけで露出は合わせられるはずです。

人によってこのストロボのどこに価値を見出すかは様々だと思いますが、私は「トップライト・逆光気味のライトを上から入れたうえで左右どちらかから被写体の明るさを起こせる」のが良いところかと思います。

カメラアクセサリーのカタログではよくリングストロボを昆虫等のマクロ撮影用として紹介していますが、昆虫写真用としてはリングストロボはあまり使用されていません。なぜかというと、立体感なく写ってしまうからで、昆虫などの丸みのあるものについては左右の光の強さを変えて立体感を出すか、逆光気味のライトで立体感を出すかしなければ立体感の表現は難しいのが実情でした。丸みがあって光沢感のあるテントウムシのような被写体だと最悪、へこんだように映ってしまう事すらあったのです。
カメラメーカーがこれまで販売してきたリングタイプでないツインフラッシュはレンズ先端に取り付ける発想のものが多いのですが、これだと左右の強さは変更できますが、トップからの光で立体感を出すことは難しく、また、ディフューザーの効きが弱くなる欠点がありました(トレーシングペーパーをストロボに直接貼っても光は弱くなるだけで柔らかくならないのですが、ストロボから距離を離してトレーシングペーパーを貼ると光が柔らかくなります。レンズ先端にストロボをつけると被写体とストロボの距離が近くてディフューザーが設置しづらい欠点があったのです)。
このKX800はアームが長いうえに空中で自在に固定されるので、小型の被写体であれば逆光気味のトップライトを入れることもできれば、ディフューザーとの距離も自在にとれます。
マクロ用ストロボとしてはまさに理想の商品と言わざるを得ない形状をしているのです。

これから下の写真が比較画像となります。カメラはすべてシグマのSD1Merrill レンズは70mmマクロ 露出はすべてマニュアル ISO200 1/125 F8です。
被写体までの距離もすべて同一で45cm、被写体の猫背のネコの大きさは高さ約3.5cm、正面の幅は2cm位ですが斜めに置いているので、画面上から見える横幅はもう少し大きいのかもしれません。
被写体から背景の壁まで距離は50cmくらいで、実際の色はただの壁紙で白となります。

まずはKX800を使用しない写真です。
内蔵ストロボ直炊き。
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※わかりづらいですが、状況写真はこんな感じです。
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普通に写っていますが、猫の顎の下の影が強いのがわかります。

次のカットは内蔵ストロボ使用ですが、ケンコーが発売している「影とり」を使用したものです。
影とりはレンズを通す穴の開いたディフューザーで、内蔵ストロボの影を和らげる効果があります。
屋外での取り回しも良く、大変素晴らしい商品です。
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※状況写真
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カメラと被写体、背景の距離関係は変わっていません。背景の色が違って写っているのは、背景までの光の届き方が違っていることを意味しています。背景の違いではなくて、猫の質感に注目。顎の下の影がはっきりやわらかくなっています。
この写りでも十分ではあるのですが。

続けて、KX800使用、ディフューザーなしの写真です。
まずは左右同一光量、同一距離からの写真です。
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※状況写真
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左右から影を打ち消しあう為、変な影は出にくいのですが、猫の足元に注目。台が斜めになっているため、左からのストロボ光が届かず、脚の影だけがくっきりと写っています。
左右からのフラッシュで影を消す方法は、それが立体物であると死角ができる場合があります。

続いて、右からのみ光らせた場合。
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背中側の影が濃くなります。猫の哀愁が出ているといって言えないことはないですね。
内蔵ストロボではできない表現です。これにディフューザーを使えば脚の影を和らげ、哀愁を出すことも可能でしょうか。

左からのみ光らせた場合。
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背中側が光って顔が見づらいですが、立体感は感じます。

ストロボを上から光らせるとこんな感じです。
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やや逆光気味の上側からの光です。見づらい写真ですが、猫の顔が見えないことを無視して、立体感の有無だけをみれば、立体感は出ていることがわかるかと思います。

上からの光で立体感を出し、右側からの光で顔を起こす、右からの光は柔らかく、ということで、影取を右側に傾けて、上と右からの光で撮ると下のような写真になります。
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※状況写真 大変見づらく申し訳ないです。。
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影とりと内蔵ストロボのみ写真と比べると、メリハリはついている一方、顔のあたりの影が消し切れておらず、どちらがいいのかは目的次第です。ただ、目的に合わせて光の当て方を変えられるのはわかるのではないでしょうか。

このストロボを使って一番きれいに写真を撮るには、補助光のLEDアームを利用して被写体の上側に大きめのディフューザーを貼り、上から柔らかい光を当て、影の出る向き左右どちらかにもう片方のストロボを回して、影とりなどのディフューザーで影を起こす、というのがよさそうかなと思います。
ただ、屋外で生きた生き物を撮るのにいちいち被写体の上側にディフューザーを持っていったら逃げられる確率も格段に高くなる気がします。
とりあえず使い方がわからない方は、上側に一灯ストロボをまわし、被写体の顔が向いている側からもう一灯を影とりを傾けて当てる、というのをおぼえれば、そこそこ何にも考えないでも写真が撮れそうな気がします。

昆虫の写真はすべてSD1 Merrill と70mmマクロにて撮影。
ストロボ上から+右から影とり併用にて撮影。
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この手の丸くて光沢感のある昆虫は光の当て方が難しいです。ハイライトの光り方を見れば撮影者がどこまで工夫をしていたかがわかります。これはお手軽手抜き撮影ですが、まあまあの写り。上側、逆光側からもっと大きいディフューザーを使った方がきれいな写真になりそうですが、「お手軽に、ある程度」の要求は充分満たしていると思います。

ディフューザーなし 上から+右からの発光にて撮影
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背中の光り方に注目。これが逆光側、トップライトの効果です。

ストロボ上から+左から影とり併用にて撮影
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この手の光沢は正面からの光だときれいに写らないことが多いです。
逆光からのストロボがおすすめです。

ストロボ2灯 ディフューザーなし、同一光量はさみこみ
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状況のわかりにくいよろしくない写真ですが、樹木の説明プレートの裏で成虫になる最中のヨコヅナサシガメです。狭い隙間に光を回せるのはツインフラッシュならではです。


このストロボ、欠点も相当あります。
一番困るのは収納で、とにかくかさばります。
ケースは付属していないので、搬送中の機材の保護は各自工夫する必要があります。
移動中にアームが折れないか心配で、これが入るプラスチックの容器を探しましたが、入れてみると大変かさばります。
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このケースは100円ショップのダイソーで購入した「MEGA KEEPER 3.6l」です。W24.5×L18.5×H10.2の寸法ですので、屋外での昆虫採集・撮影では結構邪魔です。ので、使うのをやめてしまいました。
もしかしたらポスターなどを入れる筒にまっすぐ伸ばしてしまう方がいいかもしれません。
私はとりあえずはカメラバッグのレンズを入れる場所に立てて本体を入れて、アームは上でぐるぐる他のレンズの上を這わせていますが、これだと上からの衝撃には耐えられそうもありません。

物理的な故障とは別に、耐久性についても心配はあります。
私は購入直後に片側の発光量が調整できなくなり、いきなり交換となってしまいました。
販売店の方は快く交換に応じてくださり(ありがとうヨ○○○カメラさん!)、大変助かりました。
ぜひともアフターケアに定評のあるお店で正規の輸入品を購入することをお勧めします。

見た目が最大級に怪しいのも欠点です。
買ってそんなに経っていませんが「それなんですか?」とすでに複数回聞かれています。
住宅街などでは使用がためらわれます。
見た目については知人曰く、「エロゲに出てくる触手みたいだ」。
買ったばっかりだったのですが、そういわれてなんだかがっかりしました。
まあ、おっしゃる通りです。変態カメラといわれるシグマのSD1に触手ストロボなんぞをつけて路上に寝っ転がって写真を撮っていたら、これは確かに即刻逮捕されても文句は言えません。

操作についてわからないことも。
充電ができた時のチャージ音を消したいのですが、やり方がわからずです。
十字キーの真ん中にあるボタンも機能が不明です。長押しすると「ピー」という音がして、白いLEDが光るのですが、これが何かはよくわかりません。
シンクロターミナルがありますが、これ、多分、「オスーオス」シンクロコードでないとカメラにつなげないようです。
説明書いわく
「本製品にはPCポート(シンクロ端子)が装備されていますので、シンクロ発光が可能です。このPCポートはシンクロ信号の入力のみです。出力はサポートしておりませんので、ご注意ください。」とのことです。
つないでみたことはありません。

欠点はありますが、仮に耐久性に難があったにしても、たぶん私はこの商品を「高価な消耗品」として使い続けると思います。
代わりになる商品がないからです。
サンパックもナショピーもすっかり影をひそめて、サードパーティーストロボはもはや日本製を望むのが難しくなりつつあるのかもしれません。
耐久性に心配がなければ安価な中国製大歓迎なのですが、今のところ信頼性がもうひとつ。
類似の製品をシグマあたりが作ってくれると大変ありがたいのですが、難しいですかね。
屋外で多灯ストロボ撮影をする昆虫・マクロ撮影の愛好家には耐久性と携帯性さえ気にならなければ、おすすめできる商品です。

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